杉田成道 願わくは、鳩のごとくに


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「北の国から」「最後の忠臣蔵」演出家・杉田成道、初の著書
60歳過ぎてイクメンに!? ひとの繋がりが沁みる、長篇家族物語

〈あらすじ〉
「僕には、川端康成の「眠れる美女」の一場面が浮んでいた。裸の美少女が真紅のビロードに包まれ静かに眠っていて、死期を意識した老人たちが静寂の中に、それをじっと凝視している、あれである。変と言えば、まったく変であった。こんな秘密クラブのような場所で結婚披露宴をやるのも変なら、新郎五十七、新婦二十七、年齢差三十、というのはもっと変であった。」
二〇〇一年五月。三十歳も年の離れた夫婦が誕生した。
新郎は、国民的ドラマ「北の国から」の演出家として活躍する杉田成道。
新婦は、銀行員から一念発起、女医の卵として医大に通う依里。
ちょうど五十歳のとき、僕は前妻を癌で亡くした。連れ合いを亡くすことは、何よりも辛いことだった。その僕を慰めようとした食事会で、若妻となる依里と再会した……。
その後、五十七歳で第一子、六十歳で第二子、六十三歳で第三子が誕生。
医学生と演出家の新婚生活、子育ての、怒涛の日々が始まった。
「北の国から」をはじめとするドラマの裏側・秘話と共に、六十過ぎての子育てと、“家族”の死が、まさに「ドラマと生と死」が交錯していく。
――テレビドラマの現場と、乳飲み子のあいだをひとりの男が四苦八苦しながら、新たな「父親像」「家族」を作らんと奮闘する。
しかし、そこに至るには、明治、それ以前から続く自身の家族と、亡妻の家族の「重み」があってこそのことだった。癌で急死した前妻の死、四十円だけを残して変死した従姉妹の死、義父・三木のり平の死、自ら断食を選んだ父の死、前妻の養母の死―さまざまな“家族”の想いと労苦が絡み、家族は今日も繋がっていく。
家族とは父子の関係だけではない。人は必ず、引き継がれ繋がって形成されている。
わたしたちは決してひとりではない。――その真実に思いを至らせる、珠玉の長篇家族物語。

願わくは、鳩のごとくに
杉田成道
扶桑社